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立花家 千橘 |
『井戸の茶碗』 |
中入り後のご出演は立花家千橘さん。演目は『井戸の茶碗』」。
主人公が武士の頑固さに板ばさみになって右往左往するストーリー。
千橘噺の世界に引き込まれて素晴らしいお噺でした。
『井戸の茶碗』を調べてみますと、井戸は古来高麗茶碗の王といわれ格別貴ばれていますが、
俗に一井戸二楽三唐津というように、茶碗を通じての最上とされ、その名は講談やこの噺の落語にまで取り上げられて、茶碗といえば井戸の名を連想するほどに有名になっています。
元々は、「細川茶碗屋敷の由来」という講談からつくられたもののようです。
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桂 春之輔 |
『まめだ』 |
トリは春之輔さんの『まめだ』。「
大部屋役者、右三郎が家に帰る途中、さした傘が急に重くなる。
ははあ、豆狸が悪さしよるな、と勘付いた右三郎、得意のトンボを切ると、
傘の上にいた黒いものが地面に叩きつけられ、走って逃げていった。
さて、この右三郎の母親は三津寺の境内でびっくり膏という、
貝に入った薬を商っていたが、ある日、勘定が一銭だけ足りない。
かわりに、銭を入れる箱に銀杏の葉が一枚。おかしな話や、と首をひねる母に、
右三郎は一銭くらいええやないか、と飯を食って寝てしまう。
また次の日も勘定が一銭足りずに銀杏の葉、その次の日も、
とおかしなことが続いていたのだが……。
このお噺は古典の風情をかもす新作の人情噺です。
秋風に集められた落ち葉を仲間の狸が香典を供えた、
と解釈する最後のオチは本当に泣けます。
紅葉の銀杏と共に昔の三津寺界隈が目に浮かぶお噺でした。
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〜〜写真と解説は、「囲む会」より提供いただきました〜〜 |