第26回 公演記録 
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第26回  【 ほろ酔い寄席 】 平成22年10月23日(土)
住吉区民ホール
十月二十三日(土)に住吉区民ホール『住吉ふれあい亭』で
三代目桂春団治師匠を囲む会と住吉区コミュニティ協会と共催で開催されました。
今回も住吉区民まつりと同時開催で300名に近いご参加を頂きました。
有難うございました。
桂 咲之輔
御公家女房  
最初のご出演は咲之輔さん。 
演じられたのは『御公家女房』というお噺。
あまり聞いたこと無いお噺ですが、実はご存知の「延陽伯」という根多を、
小佐田定雄さんが改作したもの。
咲之輔さん真剣な演技に実力アップを感じました。

桂 福車
商売根問
続いて福車さんが登場。 
『商売根問』 (しょうばいねどい) を演じられました。
「根問い」というのは上方の言葉で「根掘り葉掘り問いただす」ことで、
大阪には「絵根問 」「歌根問」「商売根問」など「根問」のつく噺が多くあったそうです。
このお噺も元々は鷺取りやガタロバーションですが、今回は喜六がやった商売を並べる、
うどん屋バージョン。場内大爆笑で、まさしく福車さんの独断場でした。


桂 春駒
 『替り目  
中入り前は、春駒さんの『替り目』。
酒好きの亭主が家に帰ってきて、
もう少し飲みたいと女房にダダをこねる。
酒のあてが無いと、角のおでん屋に買いに行かせる。
一人になった男はわが女房への感謝を口にするが、当人はまだ家の中に・・・
何となく妻への感謝の独白が泣かせる春駒さんの素晴らしいお噺でした。

〜〜 中入 〜〜

露の団四朗
押し売り
中入り後のご出演は露の団四朗さん。故露の五郎兵衛師匠の影響もあり怪談噺が
お得意で高座名に「四」があるため、自称「落語会のヨン様」だそうです。
落語の他、上方にわかでは、四代目一輪亭花咲(いちりんてい はなさく)を襲名されています。
出囃子『炭坑節』はご出身の福岡に由来しています。演目は創作落語の「押し売り」。
子供とおばあちゃんと押し売りのバトルといった感じのストーリーで、
子供が留守番している家に入った押し売りが子供相手に悪戦苦闘。後半は子供のお婆ちゃんも出てきて、さらにハチャメチャな展開に・・・。団四朗ワールド全開でした。

桂 春団冶師匠
 『高尾
最後は春団冶師匠の『高尾』。
すーっと膝立ちする高尾の幽霊の姿に色香と情愛がにじむ師匠の得意根多。

■そぉおっしゃれば、見ずには納まりますまい。では、暫くお待ちくだされ。
 箪笥の引き出しからうやうやしく取り出しました ちりめんの袱紗(ふくさ)、
 中から香箱をば取り出しまして火鉢をばねきに寄せます。
 その粉をば爪ですくぅて火鉢にくべますと、
 青い陰火が一つ、ボォ〜ッ……
 (♪あ〜ら不思議やなぁ、高尾の姿ぁ〜、ありありとぉ〜)
△お前は島田重三(じゅ〜ざ)さん……
■そちゃ、女房、高尾でないか
△二世(にせ)と交わせし反魂香、あざにや焚いてくだしゃんすな
■何のあざに焚くものか、いや、そなたに会いたさ見たさ
△その香(こ)の切れ目が、縁の切れ目……
■南無高尾幽霊遁処菩提、南無阿弥陀仏、南無阿弥陀仏……

●ほ、ほ〜っ! なるほど、出て来よったなぁ……。
 えぇ女ごやないかいお前。
 毎晩「チャンナマイダ」やるはずやなぁ。
 いや、実はな俺も三年前にかか死なして……、
 えらいすまんけどな、その粉ぉ半分だけおくれんか?
■いやしかし、これは人さんに上げるわけには……
●そんな汚いこと言ぅな。お前がかかの顔見たいのんと
 俺が見たいのんとおんなじやないか。
 ぎょ〜さんやないがな、少しだけ
■いや、人さんに上げましても、高尾よりほかの者は……

似て非なる『反魂丹』を買って帰り、
死別した女房おちょねに会えるのを楽しみにしている
喜六の可愛くていじらしさが最高でした。


〜〜写真と解説は、「囲む会」より提供いただきました〜〜
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