第21回 公演記録 
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第21回  【 ほろ酔い寄席 】 平成21年2月8日(日)
 「住吉区民ホール」にての開催。
桂 福矢
牛ほめ
最初は福矢さんで『牛ほめ』。
普請のほめ言葉が耳に心地よいお噺でした。
■内らへ入ると庭が縮緬漆喰、上り框が桜の三間半節無しの通り門。
■畳が備後表のヨリ縁(へり)、天井の良さが薩摩杉の鶉杢(うずらもく)。
それから奥へ通ってみなはれ、奥へ通ると南天の床柱、
萩の違い棚、黒柿の床框。
牛ほめの場面では
●天角地眼一黒鹿頭耳小歯違(てんかくちがんいっこくろくとぉにしょ〜はちごぉ)といぅ
牛がえぇなぁ。最初から場内爆笑でした。

桂 一蝶
八五郎坊主
続いて一蝶さんが『八五郎坊主』を演じられました。
下寺町(したでらまち)の「ずく念寺」。ありそうなお寺ですが実は架空。
甚兵衛さんに紹介されて出家した和尚から『法春』ほうしゅんと言う名をもらいますが、
読み方忘れ、友達から「ホウバル」「ホウカス」等次々と変な呼ばれ方をされる。
最後のさげは
●わいの名前はな「みょうが」ちゅうねん。
一蝶さん一工夫のお噺でした。

立花屋 千橘
親子酒
中入り前は、立花屋千橘(せんきつ)さん。
二代目露の五郎兵衛さんの筆頭弟子で1993年に四代目立花家千橘を襲名。
今回の演題は『親子酒』。
このお噺の原話は三百年前も前の初代露の五郎兵衛が
出版した笑話本「露休置土産」の一遍である「親子共に大上戸」。
酩酊状態でご帰還の親父と息子のお噺。
■今日は夜と共に意見いたします。
をどっちもどっちの親子が共に言うのがおかしく
●親っさん……、こら親っさん。起きろ親っさん
■い、痛い。誰やこの、何ちゅう〜ひつれぇなこと……、
せがれか。また酒呑んでるな、毎晩まいばん酒ばっかり呑んで、
見てみぃ、酒毒が回ってお前の顔が三つも四つもあるぞ。
そんな化けもんにこの家は譲れんぞ。
●要らんわい! こんなグルグル回るよぉな家。
と言うさげ。場内大爆笑でした。
千橘さんは三味線・長唄も達者にこなし
大阪俄の演者としては、四代目大阪屋町人を名乗られています。

〜〜 中入 〜〜

桂 小春団冶
アルカトラズ病院
中入り後のご出演は小春団冶さんで
『アルカトラズ病院』と言う創作根多。
映画によくある刑務所からの脱獄劇を、そっくりそのまま病院に置き換えた落語。
胆石で立花が担ぎ込まれた丸木戸病院は、不良患者の吹きだまりの刑務所のような脱走不可能な病院,、 別名「アルカトラズ病院」。
ある夜、院長の悪事を見つけた患者達は身の危険を感じ脱走計画を企てる。
今回も小春団冶ワールド前回の病院をネタにしたブラックユーモア噺でした。

桂 春之輔
立ち切れ線香
最後は春之輔さんの『立ち切れ線香』。
上方落語屈指の大ネタです。
場面は、船場の一流の商家と、南の一流のお茶屋はん。
船場の若旦那と芸妓小糸との悲恋物語で
登場人物にも品があり、何よりも、最後の三味線の手が入るところ、
若旦那のこみ上げるような切ない言葉と地唄の『雪』の連動が
素晴らしく、正に上方落語というお話。
何かこの、近松の心中物でも見ている感じでした。
場内も殆どの人が涙され、終演後は絶賛の感想が多く聞かれ、
春之輔さん会心の『立ち切れ線香』でした。
〜〜写真と解説は、「囲む会」より提供いただきました〜〜

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