第19回 公演記録 
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第19回 【 ほろ酔い寄席 】 平成20年 6月22日 (日)
新装の 「住吉区民ホール」で、2回目の開催。
300席の会場(小ホール)は、ほぼ満員。。。
桂 壱之輔
手水廻し (ちょうずまわし)
最初のご出演は壱之輔さん。『手水廻し』というお噺。
田舎の宿屋で、大阪から来た客から「手水を廻してくれ」 と言われて宿屋の主人も板場の喜助も女中もその意味がわからない。寺の和尚に聞きにいくと、長い頭のことと言うので 村一番の長い頭の男を呼んで客の前で長い頭を廻させる。というおなじみのお噺。最初から場内大爆笑でした。

桂 梅団冶
青菜
続いて梅団冶さんの『青菜』。夏の話。
仕事を終えた植木屋さんに、その屋敷の主人が 「酒の相手をして欲しい」と労をねぎらう。青菜を振舞おうとするとが、隠し言葉を使って食べてしまったことを告げる奥方。その上品な物言いに感激した植木屋が長屋へ帰って一部始終を女房に話すと、それぐらい私でもできると豪語したので……爆笑根多ではありながら、夫婦愛が微笑ましいお噺でした。

桂 春若
鴻池の犬
中入り前は、春若さんの『鴻池の犬』船場が舞台のお噺。
ある商家で飼われていた三匹の子犬その中のクロと名づけられたムク犬が、亡くなった愛犬にそっくりとかで、日本一の金満家・鴻池善右衛門の家にもらわれていく。クロは大きくたくましい犬へ成長。そんなある日にガリガリに痩せた犬がこの界隈に迷い込んでくる……。兄弟犬が再会する、悲しく、いじらしいお伽噺を春若さんが見事に演じられました。

〜〜 中入 〜〜

桂 春駒
持参金
中入り後のご出演は春駒さんで『持参金』。
借金を抱えた男が、借りた知人から急にその金を返すよう催促される。返す金もないのにどうしようと思っていると、急に縁談の話が持ち込まれる。誉めるところが一つもなく、さらに身籠っている女だそうだけど、ちょうど借金と同じ額の持参金がついてくるということで、さっそく話をすすめることに。
「金は天下の回り物だ」という落ちの、おなじみの根多ですが、さすが春駒さんと言えるお噺で会場全員大笑い状態でした。

桂 福団治
借家怪談
最後は福団治さんの『借家怪談』。
長屋の空家を借りたいと訪ねて来た男に「あの部屋は敷金なし、家賃は家主の方から逆にくれる。けどこれには少々わけがあって幽霊が……」と、追い返してしまう。実はこの空家、長屋の連中が物置代わりに使っているので住人が決まると困るからなのだが、今日もまた部屋を借りたいという男が来た……

▲……、済んまへんわたい恐がりだんねん。もちょっと陽気にもの言うてもらえまへんやろか
●どこで打ち出すか遠寺の鐘が、陰に響いてゴ〜ンと鳴るとな、あのうちがどことはなしにミチミチッ、ミチミチッと鳴り出すのんで。
▲なるほど
●そぉすると、濡れワラジでも履いて歩くよぉな足音が縁側でジクツジタツ、ジタジクジタ……
▲ちょっとお家上げさしてもらいますわ……。へぇ
●誰が開けるともなしに襖がス〜ッと開く、あんたが寝てるとこへ胸をグ〜ッと押さえる。あんた苦しいので目を開けて見ると、その顔の前には、髪をおどろに乱して、目ぇや口から血を流した女ごが……、ゲラゲラゲラ……
▲うわぁ〜〜ッ!
●もし、もしもし、ちょっと待ちなはれッ。えらい恐がりやなぁ、慌てて角の手水鉢ひっくり返して逃げて行ったがな、ホンマ恐がりやなぁ。

本物のお化けが出るわけではなく、 「不動坊火焔」と同じく、作り物のお化けで驚かす噺。
福団冶さんならではの独特の雰囲気のお噺でした。
〜〜この解説は、会報誌「のざき」より〜〜

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