第17回 公演記録 
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 第17回 【 ほろ酔い寄席 】    平成19年10月 7日 (日)
住吉区の住吉会館で開催されました。

桂 福矢

天災
最初のご出演は福矢さん。『天災』という根多。
短気で自分の母親にも暴行を加える乱暴者が、大家の紹介で心学者 紅羅坊奈丸(べにらぼうなまる) 先生から ″天災  ”の心得を習うお噺。
帰ってみると長屋で一騒動あつた後、どうやら隣の夫婦が一悶着あつたらしい。
先妻と本妻が喧嘩騒動になったとか。
そこでこの男
●分からんじやろおなぁ。 でわ、あなたに良く分かるよおにお話をしましょう。広〜い広〜い野原じゃ、そこをあなた一人が歩いてなさった。
にわか雨、ザ〜ツと雨が降ってくると丁稚さんが水を撒く
▲その丁稚、アホやろ
■すると丁稚は、屋根から落ちてくる。即ち天のわざわい、天災じゃ。お分かりかな?
▲そんなもん、分かるかい
■分からんガツキヤなぁ。俺はすぐ分かったぞ。お前とこ、前の嫁はんが飛び込んできたから喧嘩になつたんやろが。
せやから、これを前の嫁はんやと思わんと、天が飛び込んできたと思わんかい。
天やったら喧嘩のしようがないやろ。

これを天のわざわい、天災っちゅうねん。・・・・・先妻でもめてんねん。
と言うオチで、福矢さん会心のお噺でした。

桂 蝶六

豊竹家
続いて蝶六さんの登場。『豊竹家』。
見るもの聞くもの何でも節をつけて語りだすという、いたって浄瑠璃好きな豊竹家の節右衛門さん。朝から晩まで義太夫を語っておりますとそれを聞きつけ、口三味儀の名手を名乗る男がやって来て二人のノリノリ コラボレーションが始まります。
●汚い三味線やなぁ〜
♪あれあれ、向こうのお棚にネズミが みちゅ出(い)で、また みちゅ出でて むちゅまじくぅ、一つのお餅を引いてゆくぅ〜、餅は小(ち)さいか大きいか? 棚の上のネズミが
  「♪チユ〜、チユ〜、チユ〜、チユ〜、チユ〜」
★さすが節右衛門さんとこのネズミはよぉ弾きまんなぁ。
●いえいえ、かじってるだけでございます。

大蔵流狂言方 安東伸元に師事された蝶六さんならではのお噺でした。


桂 春駒

犬の目
次は春駒さんの『犬の目』。

眼科医が患者から取り出した目玉を洗浄し乾かしている間に、どこかの犬が来てこれを食べてしまいます。
困った眼科医は仕方無しにその犬の目玉をくり抜いて、何も知らない患者にはめ込んで治してしまう。 ・・・と言う神業スーパードクターが登場する超SF的古典根多です。

春駒さん 仕草が素晴らしいお噺でした。



桂 福団冶
薮入り
最後は福団冶さん。根多は『薮入り』。
このお噺は泣かす人情噺です。かつて年季奉公の制度、丁稚奉公では年に2度、盆と正月の16日に薮入りと言って、実家に帰ることを唯一の楽しみにしていた頃のお噺。
十に満たないあどけない子どもを奉公に出していて三年ぶりに初めて家に戻るというので、両親は嬉しくてたまらない。しかも帰ってきた子供が、想像に反して、礼儀正しく、しっかりしているので、親は嬉しいやら、くすぐつたいやら、取り留めのない挨拶をかわすといったお噺。

▲三年ぶりに一人息子に会えるつちゅうやつで、前の晩なんか寝られへん。
■おい娩(かか)、いま何時や?
●まだ、夜中の三時でんがな
■夜の明けんのん、遅いなぁ
●まだ三時でんがな
■きのうのいま時分、お陽(ひ)さん出とつたで
●そんなアホなこと……
■そぉかてお前、亀が帰って来んねんやないかいなあ、三年経ったらだいぶ大きなってるやろなぁ?
●よぉ辛抱しましたなぁ、三年間……なぁ、だいぶ大きなつてまっしゃろなあ
■背も高こなっとんで・・・
●へぇ〜
■目えも鼻も大きなつとんで……、耳も長ごなっとんで
●ウサギでんがな、あんたそれやったら
■いま何時や?
●まだ言うてなはる、三時でんがな。

さすが福団治さん。泣けるお噺でした。


〜〜この解説は、会報誌「のざき」より〜〜

ほろ酔い寄席、この住吉会館で行われるのは今回が最後。
  次回からは、建設中の住吉区役所内の、ホールで、、、
 噺家さん、世話役さん 記念撮影!!


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